[No.3] 嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え – 岸見一郎,古賀史健

倫理学・道徳

嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え [ 岸見一郎 ]

価格:1,650円
(2021/12/29 20:32時点)
感想(534件)

本の情報

  • 著者 : 岸見一郎・古賀史健
  • ジャンル : 倫理学・道徳
  • ページ数 : 294

購入理由

アドラー心理学に関心があったから
対人関係に悩みがあったから
「嫌われる勇気」というタイトルに惹きつけられたから

本のレビュー・感想

評価 : ★★★★☆

「嫌われる勇気」という強烈で印象的なタイトルが故に、本書には多くの人が手にとってみたいと思わせるような痛烈な第一印象がありました。


本書はアドラー心理学を説く「哲人」とそれに反論する「青年」の対話形式で綴られており、小説を読むような感覚で理解することができ、難易度の高い内容をできる限り簡潔に表現されています。
いざ読み進めると当初予想していた「人の目など気にすることなく、我が道を貫き通せ」といった内容とは異なり、どちらかというと「自分は自分、他人は他人なのだから嫌われることは他人の問題として考え、自分はできることをしなさい」というニュアンスの考え方であるという印象を持ちました。


正直、一度読んでみただけではアドラー心理学的な考え方の入り口を理解する程度に留まり、深くまで理解することはできないと思いました。現に本書でも「本当の意味でのアドラー心理学を理解し、生き方まで変わるようになるにはそれまで生きてきた年数の半分が必要」と述べられているため、教えを学び、実践するサイクルを長年繰り返す中で辿り着ける境地のようなイメージがふさわしいような気がします。

私自身、本書の全てを肯定し、受容することは難しいと感じたことは事実だが、「承認欲求の否定」という考え方は新たな学びがありました。
「われわれは他者の期待を満たすために生きているのではない」という言葉や「他者の評価を気にかけず、他者から嫌われることを恐れず、承認されないかもしれないというコストを支払わないかぎり、自分の人生を貫くことができない」など承認欲求を無視し、自分の課題には他者を介入させず、自らも他者の課題に介入しないというスタンスで「課題の分離」を行うというものは非常に面白いと感じました。

誤った解釈に陥る可能性も危惧されるため、対人関係に悩む全ての人におすすめというよりは、現在精神的に余裕がある人が対人関係をより上手くやっていくために読んで欲しい一冊となっています。

印象的な言葉

  • 世界」が複雑なのではなく、ひとえに「あなた」が世界を複雑なものとしている
  • もしもライフスタイルが先天的に与えられたものではなく、自分で選んだものであるのなら、再び自分で選びなおすことも可能なはず
  • 「人間の悩みは、全て対人関係の悩みである」
  • 健全な劣等感とは、他社との比較のなかで生まれるのではなく、「理想の自分」との比較から生まれるもの
  • 「他者からどう見られているか」ばかりを気にかける生き方こそ、「わたし」にしか関心を持たない自己中心的なライフスタイルなのです
  • われわれは「他者の期待を満たすために生きているのではない」
  • 「誰かが始めなければならない。他の人が協力的でないとしても、それはあなたには関係ない。わたしの助言はこうだ。あなたが始めるべきだ。他の人が協力的であるかどうかなど考えることなく」
  • 「神よ、願わくばわたしに、変えることのできない物事を受け入れる落ち着きと、変えることのできる物事を変える勇気と、その違いを常に見分ける知恵とをさずけたまえ」
  • 世界とは、他の誰かが変えてくれるものではなく、ただ、「わたし」によってしか変わりえない

勧めたい人

対人関係に悩んでいる人(鬱や内向的な人を除く)
人生の指針を見つけたい人

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